粉砕について
ここでは粉砕とは何か、原料処理における粉砕技術についての解説を行います。
以下に粉砕の説明、目的を『セラミックマシナリーハンドブック』より引用します。
粉砕は大量に粉体を生成するための操作の1つである.この操作は,セラミックス製造工程では 原料粉体を調整する上で必須であり,その主な目的は粒度調整,成形性の向上,異種原料の場合は,混合度の向上などである。
粉砕は、大量の粉体を生成するための重要な操作の一つです。この操作は、特にセラミックス製造工程において原料粉体を適切に調整するために不可欠であり、その主な目的には以下のようなものがあります。
- 粒度調整
粒度調整とは、粉体の粒径を均一にし、目的とするサイズ範囲に調整することです。セラミックス製造では、焼結性や流動性を最適化するために、特定の粒度分布が求められる。適切な粒度を確保することで、焼結後の強度や密度を向上させることが可能となります。 - 成形性の向上
粉砕技術における「成形性」とは、粉砕された材料が後工程で成形品として加工される際の特性を指します。粉砕によって粒子径を均一化し、形状を調整することで、粉末の流動性や充填性が向上し、成形時のばらつきを低減できます。例えば、医薬品の錠剤製造では、粉末の成形性が錠剤の硬度や崩壊性に大きく影響します。また、セラミックスの製造では、粉末の成形性が焼結後の強度や寸法精度を左右する重要な要素となります。 - 異種原料の混合度向上
異なる種類の原料を使用する場合、それらが均一に混合されることが求められます。粉砕操作によって粒子が微細化されると、比表面積が増加し、物質間の相互作用が強まり、より均一な混合が可能となります。これにより、焼成時の反応性が向上し、最終製品の品質が安定します。
粉砕操作のメカニズム
粉砕操作は、ボールミルなどの粉砕機を用いて行われます。ボールミルでは、回転する容器内で粉体と粉砕媒体(ボール)が衝突・摩擦することにより、粒子が破壊されます。この際、固体の破壊は確率的な現象であり、個々の粒子がいつ・どのように破壊されるかはランダムな要素を含んでいます。


粉砕過程を正確に理解するためには、粉砕前後の物質収支に基づく速度論と、破壊の確率論的考察が必要となります。速度論的アプローチでは、時間とともに粒子のサイズがどのように変化するかを数理モデル化し、破壊の確率論では、粒子が特定の力学的条件のもとでどの程度の確率で破砕するかを評価します。
破壊の基本メカニズム
固体の破壊および粉砕は、以下の要因によって影響を受けます。
- 粒子の物性
粒子の硬度、靭性、結晶構造などが破砕のしやすさを決定します。 - 外力の作用条件
ボールミルにおける回転速度、粉砕媒体の種類、粉体の充填率などが破壊挙動に影響を与えます。 - 雰囲気
粉砕環境の湿度や温度、雰囲気ガスの種類(空気・不活性ガスなど)が粒子の挙動を左右します。
粉砕の過程では、粒子内部に存在する微小クラック(ひび割れ)が外力の作用によって活性化し、最終的に破壊が進行します。破壊の結果として生成される粒子のサイズ分布は、さまざまな数理モデルによって表現されます。代表的なものとして、ふるい下積算分布 B(y, x) があり、これは「粒子を砕いたときに y のふるい目を通過する割合」を示します。
以上のように、粉砕技術は単に粒子を小さくするだけでなく、製造工程全体の品質向上や効率化に大きく貢献する重要なプロセスです。
当社では世界レベルの粉体機械を、製造工程全体の品質向上や効率化を考慮し、お客様のご要望に合わせて開発し、ご提供しております。