製造工程で発生するスラグを再利用・再資源化するためには、用途や後工程に応じて粒度を整えることが重要です。細かくし過ぎず、数mm級から数百μm級までの狙った粒度へ調整するには、原料の硬さや投入粒度、必要処理量を踏まえた粉砕方式の選定が必要です。中工精機がロッドミルによる粒度調整をご提案します。

このページの要点
- スラグなどの硬い無機系原料を、細かくし過ぎず(過粉砕を抑えて)狙った粒度に調整したい場合に適した方法を紹介します。
- 主力機種はロッドミル。ボールではなくロッドを粉砕媒体に使い、粗い粒子を優先的に砕くため、粒度をそろえる用途に向いています。
- 本事例では、投入原料25mm以下・排出原料3mm以下を目標に、乾式・連続粉砕を検討しました。
- 実機導入前にパイロットプラント用ロッドミルでの粉砕試験が可能。既設設備の更新・処理能力の見直しにも対応します。
粉砕の目的・課題・制約
目的
- 発生するスラグを、再利用しやすい粒度へ調整したい
- スラグを細かくし過ぎず、狙った粒径にそろえたい
- 既設設備の更新に合わせ、処理能力を見直したい
課題
- スラグを目的の粒度まで安定して粉砕できない
- 過粉砕により、後工程や用途に適した粒度を維持しにくい
- 既設設備の老朽化により、処理能力や保全性の見直しが必要
制約・条件
- 投入原料サイズは25mm以下を想定、排出は3mm以下が目標
- ロッドの補充・交換を行いやすい構造が必要
- 既設の工程条件を維持し、前後設備との接続を考慮
対応素材
中工精機は、粒度調整の分野において以下の素材の粉砕実績があります。
粉砕レベル・処理方式
用語の定義
- 解砕(かいさい)
- 凝集した粉体や固まった塊を、元の粒子を壊さずにほぐす処理。
- 粗粉砕(そふんさい)
- こぶし大〜数十cmの塊を、数mm〜数十mm程度まで砕く一次破砕。
- 中粉砕(ちゅうふんさい)
- 粗粉砕された原料を、さらに数mm以下まで砕く二次破砕。
- 過粉砕(かふんさい)
- 目的の粒度を超えて細かく砕きすぎてしまうこと。歩留まりの低下や後工程への不適合を招く。
- スラグ
- 製鋼・製錬などの工程で発生する副産物。再資源化のために粒度調整して用いられる。
粉砕レベル
どこまで細かくするか
処理方式
どうやって処理するか
- 乾式
粉砕機に求められる機能
過粉砕の抑制
狙った粒度への調整
粗い原料を優先的に粉砕する作用
既設ラインおよび前後設備に接続しやすい設計
推奨する粉砕機
受入原料の粒度によっては、前段に粗粉砕・中粉砕機を組み合わせた構成をご提案します。
ロッドミル
スラグのような硬い無機系原料を、細かくし過ぎずに粒度調整したい場合に適します。ボールではなくロッドを粉砕媒体に使い、ロッド同士の衝突・摩擦・圧力で原料を砕くため、粗い粒子を優先的に粉砕しながら過粉砕を抑えられます。連続供給・連続排出に対応し、既設工程の更新や処理能力の見直しにも活用できます。
ロッドミルの詳細を見るジョークラッシャー
受入原料に25mmを超える塊状物が混在する場合、ロッドミルの前段で原料サイズを整える粗粉砕機として検討できます。投入粒度を安定させることで、ロッドミルの処理能力と粉砕状態の安定化につながります。
ジョークラッシャーの詳細を見るロールクラッシャー
ジョークラッシャー等で粗粉砕した原料を、ロッドミルへ投入しやすい大きさへ整える中粉砕機として検討できます。受入原料の粒度ばらつきが大きい場合や、ロッドミルの投入条件を一定に保ちたい場合に有効です。
ロールクラッシャーの詳細を見るパイロットプラント用ロッドミル
実機導入前に、原料の粉砕性、ロッド径、ロッド量、回転条件、処理時間、排出粒度などを確認したい場合に適します。試験を通じて目標粒度に対する粉砕条件と設備仕様を検討し、既設設備の更新計画や必要処理能力の設計につなげます。
粉砕試験について見る推奨の理由・技術データ
スラグを細かくし過ぎず、狙った粒度へ整えるロッドミルの考え方
製鋼・製錬などの工程で発生するスラグは、再資源化や再利用の用途に応じて粒度を調整する必要があります。後工程の分級・選別条件、建設・土壌改良等の用途、搬送・保管条件などにより、必要な粒度範囲は異なります。そのため、単に微粉砕するのではなく、過粉砕を抑えながら狙った粒度まで効率的に粉砕することが重要です。
ロッドミルは、粉砕媒体としてボールではなくロッドを使用する連続式ミルです。ミルの回転によってロッド同士が接触・衝突し、原料に摩擦・圧力・衝撃を加えます。原料の中でも比較的大きい粒子に作用しやすいため、粗い粒子を優先的に粉砕し、粒度をそろえる用途に適しています。
本事例では、投入原料を25mm以下、排出原料を3mm以下とする条件を目標に、ロッドミルによる乾式粉砕を検討しました。実際の設計では、原料の硬さ、初期粒度、目標粒度、必要処理量、粉砕時間、ロッド径、ロッド装填量、ライニング材、投入・排出方式、前後設備との接続条件を確認します。
中工精機のロッドミルは、原料を一端から投入し、粉砕後の原料を他端から連続排出する方式です。乾式粉砕用途に対応し、スラグ粉砕や鉱物・化学製品の粉砕用途で使用されています。内張りには高マンガン鋼を採用しており、用途に応じてライニング材の相談も可能です。
導入事例
資源循環・無機系原料リサイクル関連
スラグをロッドミルで連続粉砕し、過粉砕を抑えて粒度を調整
- 課題
- 再資源化を目的とするスラグについて、細かくし過ぎず、後工程に適した粒度へ安定して整えたいというご相談がありました。
- 解決
- 既設設備の更新にあたり、原料の投入条件、目標粒度、必要処理量、前後設備との接続条件を確認し、ロッドミルによる連続乾式粉砕を検討しました。
- 結果
- 粗い粒子を優先的に粉砕しながら、3mm以下を目標とする粒度調整工程を構成し、既設ラインの更新と処理能力の見直しにつながりました。
※本事例はお客様情報保護のため、業種、原料、処理条件、設備仕様、数値および工程の一部を抽象化・再構成しています。実際の設備仕様は、原料の硬さ、初期粒度、目標粒度、処理量、含水率、設置条件、前後設備および安全条件により異なります。
よくある質問
スラグの粉砕試験はできますか?サンプルを送って確認したいのですが。
はい。原料サンプルを用いた粉砕試験についてご相談いただけます。
スラグは、硬さ、粒度、形状、含水率、金属分の有無、摩耗性などによって粉砕挙動が異なるため、実際の原料で確認することが重要です。試験では、投入粒度、目標粒度、処理方式、必要処理量、過粉砕をどの程度抑えたいかなどを確認し、ロッドミルやボールミル等の粉砕機の適用性と粉砕条件を検討します。
お問い合わせ時には、可能な範囲で以下の情報をご用意ください。
- 原料名または原料の発生工程
- 原料の写真
- 最大粒径・粒度分布
- 希望する排出粒度
- 含水率、硬さ、摩耗性、金属分の有無
- 量産時に必要な処理能力
- 既設設備の有無と現在の課題
- SDSまたは安全性に関する情報
試験後は、粉砕後サンプル、粒度確認結果、推奨条件、機種選定の方向性についてご説明します。必要に応じて粉砕後サンプルを返却し、お客様側での用途適合性評価にもご活用いただけます。
中工精機では、ロッドミルやボールミルを含む各種粉砕機による試験について相談を受け付けています。
過粉砕を抑えて、狙った粒度にそろえられますか?
ロッドミルは、過粉砕を抑えながら粒度調整を行いたい場合の有力な選択肢です。
粉砕媒体としてボールではなくロッドを使用し、ロッド同士の接触、摩擦、圧力、衝撃によって原料を粉砕します。比較的大きい粒子に作用しやすいため、粗い粒子を優先的に粉砕し、必要以上に微粉を増やさない粒度調整を検討できます。
ただし、過粉砕の抑制や最終的な粒度分布は、ロッドミルだけで決まるものではありません。以下の条件を総合して検討します。
- 原料の硬さ、脆さ、形状、摩耗性
- 原料の最大投入粒径と粒度分布
- 目標粒度と許容できる微粉量
- ロッド径、ロッド材質、ロッド装填量
- ミル径・長さ、回転条件、滞留時間
- 供給量、排出方式、必要に応じた分級条件
- 前段のジョークラッシャー・ロールクラッシャーによる投入粒度調整
「必ず◯◯mm以下」「微粉が◯%以下」といった結果を保証するものではありません。原料サンプルによる試験および実機条件の検討後に判断します。
ロッドミルは乾式粉砕専用で、連続的に原料を供給・排出する構造です。
どのくらいの処理能力(t/h)に対応できますか?
処理能力は、原料・目標粒度・設備仕様によって大きく異なるため、一律に「〇〇t/h」とお答えすることはできません。
同じスラグでも、硬さ、初期粒度、目標粒度、含水率、微粉の発生しやすさ、供給の安定性によって、必要なミル寸法、ロッド装填量、動力、回転条件が変わります。能力検討では、主に以下を確認します。
- 最大投入粒径および投入粒度分布
- 目標粒度・許容される微粉量
- 必要な平均処理量・最大処理量
- 原料の硬さ、比重、含水率、摩耗性
- 連続運転時間・稼働率
- 前段供給設備、後段分級設備、搬送設備
- 設置スペース、既設ラインとの接続条件
原料サンプルによる試験結果、既設機の運転情報、必要処理量をもとに、ロッドミル本体と前後設備を含めた能力設計をご提案します。中工精機のロッドミルは、原料を一端から連続供給し、他端から連続排出する方式であり、量産ラインの連続粉砕工程に適します。
既設のロッドミルが老朽化しています。更新は依頼できますか?
はい。既設ロッドミルの更新についてご相談いただけます。
既設機の図面や仕様書が残っていない場合でも、現場の設置スペース、基礎、原料投入・排出位置、既設の搬送設備、必要な処理量、目標粒度、保守方法などを確認し、既存ラインに接続しやすい設備仕様を検討します。
更新時には、単に同等仕様へ置き換えるだけでなく、以下のような見直しも可能です。
- 必要処理量に合わせたミル寸法・動力の見直し
- 投入粒度・排出粒度に合わせた前後工程の最適化
- ロッド補充・交換、点検、清掃を行いやすい構造の検討
- ライニング材やロッド条件の見直し
- 定量供給、分級、搬送、集じんなど前後設備との接続
- 安全対策、作業動線、保全性への配慮
- 既設基礎・架台・設置スペースへの適合確認
更新に際しては、弊社からご質問事項がいくつかございます。打ち合わせ、現地確認や概略仕様の検討を進めます。まずはお問い合わせください。
摩耗性のある硬い原料ですが、ライニングは大丈夫ですか?
原料の硬さ・摩耗性に応じて、ライニング材とロッド条件を選定します。
ロッドミルでは、ミル内のライニングがロッドおよび原料から受ける衝撃・摩耗から缶体を保護します。ただし、ライニング寿命を事前に一律で保証することはできません。摩耗量は、次の条件に左右されます。
- 原料の硬さ、比重、摩耗性、形状
- 原料中に含まれる硬質粒子・金属分
- ロッドの径、材質、装填量、補充条件
- ミルの回転条件、処理量、運転時間
- 投入粒度、目標粒度、過粉砕の程度
- ライニング材質・形状・板厚
- 原料供給の安定性、過負荷の有無
必要に応じて、原料サンプルによる粉砕試験、既設ライニングの摩耗状況、保全履歴を確認し、ライニング材・ロッド条件・交換しやすい構造を含めて検討します。
概算の価格と納期を知りたいのですが。
概算価格と納期は、原料条件と設備範囲を確認したうえでご提示します。
ロッドミルは、ミル本体の寸法、動力、ライニング、ロッド、投入・排出部、架台、定量供給、搬送、分級、集じん、安全設備、既設ラインとの接続条件によって価格と製作期間が変わります。そのため、まずは下記の条件を確認させてください。
- 原料名、写真、SDSまたは安全情報
- 最大投入粒径、目標粒度、必要処理能力
- 乾式処理条件、含水率、摩耗性
- 連続運転時間・年間稼働条件
- 既設設備の有無、更新か新設か
- 設置場所、レイアウト、電源、基礎条件
- 必要な前後設備(例:供給機、コンベヤ、分級機、集じん機、制御盤)
- 希望する導入時期
- 試験の要否
関連するページ
スラグの粒度調整をご相談ください
機種が決まっていなくても構いません。原料・目標粒度・処理量の概要をお知らせいただければ、中工精機が最適な機種と試験方法をご提案します。パイロットプラント用ロッドミルでの粉砕試験も可能です。
